リッキー・ホラー・ショウ 〜DEATH & REBIRTH〜

Writer:リッキー2号
Illust:内田緋竜




 雷鳴。
 そして、窓を叩くはげしい風雨――。
 彼/彼女は、白い見知らぬ天井を見上げる。
 ゆっくりと身を起こしてみれば、そこはベッドである。簡素なパイプベッドは、病院で見られるものだ。病院――、そう、この白い壁、白い床、白い天井は、まぎれもなく病院のものだった。
 そして、かすかに鼻をくすぐる薬品の匂い。
 しかし、わかったのはそれだけだった。
 窓の外ははげしい嵐だ。
 ここがどこの病院で、正確には今が何時なのかもわからない。
 いや、それどころか――。
(自分はなぜ、こんなところにいたのだろう)
(そもそも自分は……誰――なのか)
 かろうじて、暗い記憶の淵から、名前がひとつ、浮かび上がってきた。
 ドアを開けて、病室を出る。
 暗い廊下をひたひたと歩んだ。
 ふと、立ち止まると、廊下の壁に鏡があった。
 その中に映る人物を、まじまじと見つめる。これが自分か。自分は、こんな人間だっただろうか。それにしても顔色が悪い。血の気のない肌は、まるで死人ではないか。
 雷鳴。稲光りが、白昼のように廊下を照らし出す。
 その瞬間――、脳裏にその光景が弾ける。
 ああ、そうだ。
 自分は、
 あのとき、

 死 ん だ の だ 。



前編:甦りの夜


  1

 気泡が、ゆっくりと登ってゆくのを見送る。
 水面に光が揺れていた。
 たゆたう水はあたたかい。
 それはどこか、誕生以前の、胎内の記憶にも似て――。
 耳に甦るのは、誰の声だったろう。その悲鳴が胸に突き刺さるのは、あまりにも悲痛だったから。
 ああ、彼女を…………悲しませてしまった。
「…………」
 そして、セレスティは、そっと目を開いた。
 飛び込んでくるのは、見知らぬ白い天井だった。
 目覚めた直後はいつもそうであるように、セレスティは、ただぼんやりと、目覚めたといっても「目を開けた」というだけだ、というような有様で、ベッドによこたわっているままだった。
 いつもなら……。
 窓から穏やかな日差しと、鳥のさえずりが差し込んでくるにつれ、徐々に身体が目覚めてくる。すこし身を起こし、窓から庭を眺めることもできる。やがて、忠実な執事にして庭師が、部屋を訪ねてくるだろう。同じく忠実な料理人が淹れてくれた目覚めのダージリンを銀の盆に載せて。
 彼が窓を開けてくれれば、心地よい庭の植物の香りがまじった風が吹く。今朝摘んだばかりの花が花瓶にいけられるのを見ながら、ようやく、はっきりしてきた頭を、完全に目覚めさせるために、新聞を開くのだ。まずはNYの株価をあらためることから、セレスティ・カーニンガムの一日ははじまる。
 だが。
 また再び、まどろみに沈みかけていたようだ。
 はっと意識が引き戻されたのは、はげしい雷鳴が起こったからである。
 窓の外は、真っ暗で、雨風の唸る不吉な音だけが聞こえている。そして、稲光が真昼のように照らし出したそこは……殺風景な病室だった。カーニンガム邸の自室とはほど遠い。
(わたしは……)
 セレスティは記憶の糸をたどった。しかし。
(セレ様……)
 胸を突かれたような思いはまだ残っている。だが、糸は途切れていた。記憶に浮かんだ、庭師や料理人の顔も、指のあいだから水が零れ落ちるように、どこかへ逃げてゆく。
 自分の名はセレスティ・カーニンガム。
 だが、それ以上のことは、思い出せない。

 藍原和馬はさまよっていた。
 ひたひたと、廊下を歩む足は裸足で、床の冷たさが伝わってくる。……だがそれを、彼は冷たいとは、感じなかった。なぜならば、彼の体温のほうが、ずっと冷え切っていたからだ。
「……っ、く」
 雷鳴が轟く。それに呼応するように、ずきん――、と、疼痛が走った。
 稲妻の閃光に、和馬の精悍な横顔が浮かび上がる。その顔に、苦悶が刻まれていた。
 壁に手をつき、もう一方の手が、シャツの、胸のあたりを掴む。
「く――そ……」
 痛みとともに、行き場のない憤りと、焦燥感のようなものが、彼を焦がした。だが、それが何に向けられたものか、何に由来するものかが、まったく思い出せないのである。
「……ッ、っがあっ!」
 くわっと吠えた口の中に、鋭い犬歯の尖りが垣間見えた。シャツを掴んだ手を引くと、ぶちん、とボタンが飛んで、胸がはだけた。
 雷光――。
 白い光が、今度は、その胸に古傷があるのを照らし出す。
 和馬は、壁を背にして、ずるずると力なく、廊下に座りこんだ。
 なにか、見えない手が、心臓をわし掴みにしているようだった。
 はあはあと、喘ぎながら、廊下の向こうの暗がりを見据える。……と、そこから、近づいてくる足音があった。
「……あら」
 亡霊じみた白いシルエットは、ナース服だった。
「どうされました? 苦しいですか?」
 若い、女性看護師だった。
「……放っといて……くれ……」
 低い声で、和馬は応えた。
「だめですよぉ。もう消灯のお時間です。さ、お部屋に戻りましょうね」
「……るせェよ」
「さあ、立てますかぁ? だめですかぁ? あらあら、困りましたねぇ」
 看護師は、子どもをあやすように言った。
「かわいそうに。ご病気なんですね。でも大丈夫ですよぉ。ここは病院ですからぁ。どぉんな病気でもぉ、治せますからぁ。さぁ、まず……お注射しましょうねぇ」
 ぎらり、と注射器の針が輝くのを見てはじめて、和馬は、女の様子が尋常でないことに気づくのだった。
「さあ、お注射のお時間でぇす」
 うつろな瞳は何も映しておらず、肌に血の気はない。
 張り付いた仮面のような笑顔のまま、ナースは得体の知れない液体の入った注射器の針を、和馬の腕にあてようとしていた。

「ひどい嵐だな」
 懐中電灯の光の輪が、ふらふらとさまようように揺れているのは、それを持つ男たちの心の不安をあらわしているのだろうか。
 警備会社の制服を着た二人組である。
「それになんか静か過ぎる。いつもこんなだっけか」
「ああ、なんか様子がヘンだ」
 話す声が必要以上に声高で、夜の廊下に無遠慮に響き渡るのも、自分たちを鼓舞しようとの思いがあってのことか。だが……。
「おい」
 ひとりが立ち止まる。
「なにか音がしなかったか」
「なに言うんだよ、俺にはなにも――」
「ここだ……」
 光の輪の中に浮かび上がるプレートの文字は……「霊安室」。
「……冗談にしても出来すぎだ」
 そっとドアノブに手をかける。かれらは、その部屋に足を踏み入れた。
 空気にまじる、線香の匂い。
「今日……遺体があったっけ」
「ああ、たしかほら……事故で死んだ女の子」
 ぼう、と、ベッドの上に、白いシーツの盛り上がりがあるのがわかった。
「誰もいやしないぜ。それより停電をなんとかしなきゃ」
「ああ、そうだな」
 そうして、警備員たちはきびすを返した…………のだが。
 ――ぼたり。
「……」
「…………おい」
 ――ずる……ずず……。
「あれはなんだ」
 天井から、壁を伝い、床の上へと広がろうとしている、どろりとしたもの。
 懐中電灯の光を受けて、それは鈍色にてらてらと光り、ぎらついている。ちょうど、流れ出した水銀を思わせる、しかしそれは謎の物体だった。
 しかもそれは、生あるもののごとく、霊安室の床の上を這いうねり、蛇がかまくびをもたげるように、ゆっくりとその一部を持ち上げはじめていた。
「……!」
 警備員のひとりが、はじかれたように振り返った。背後に、尋常ならざる気配を感じ取ったからである。相棒は、いまだ、あやしい重金属色の粘菌に見入っている。
「お、おい……」
 ふりかえった男の声はふるえていた。
 ベッドの上に……少女が身を起こしていた。
 篠宮久美乃――という名前を記したプレートがちらりと目に入った。
 彼女はどこかの学校の制服らしきものを着ていたが、それはぼろぼろだった。肌は、ほとんどが包帯で覆われており、その上に、赤黒い血の染みが見てとれる。
 少女は死んだはずだ。
 落下した鉄骨に巻き込まれて。
 救急センターに運ばれたときにはもう手の施し様がなかった。全身が、のら犬の玩具になった人形のようにぼろぼろで、四肢は皮一枚、筋繊維一本でかろうじてつながっていたような状態だったはずだ……。
 その瞳が……包帯の合間からのぞく目が、たしかに、男達を見据えた――と、思った。
「ターゲット確認。只今より任務遂行にうつる」
 ふいに、少女がそんなことを口にした。
「……殲鬼は根絶やしにしなければ…………神帝軍からの解放…………セフィロトの塔は……」
 壊れたラジオのように、その唇からこぼれおちる、意味不明の言葉。
 次の瞬間。
 びしゃり、と、男は生暖かいものを頭から浴びる。
 横を向けば、相棒の首から上がなかった。
 水銀色の液体が、一直線に伸びて、瞬時に男の頭部を破砕していたからである。

 どこか遠くで、悲鳴を聞いたような気がした。
 しかし、シュライン・エマはほんの一瞬、手を止めて、視線を泳がせただけだった。
 すぐに、もとの作業に没頭しはじめる。
 彼女は、次から次へとキャビネットを開けて、中のファイルを漁っているのだった。
 だが、その瞳はどこかうつろだ。
 血の気のない肌に、緩慢な動作。まるで……自分でもなにをやりたいのかわからずに、ただ機械的に動作を繰り返しているようにさえ見える。
「見つけ……なきゃ…………」
 かすかに聞き取れるだけのつぶやきを、彼女の唇がつむいでいる。
「……証拠…………情報を集めたら…………早く戻って……」
 ふと、手を止める。
「戻ら……なきゃ……」
 ずきん、と頭痛を感じたように、こめかみに手をやる。
(うお、なんだ、もう買い置きないぞ)
 ひどく懐かしいような誰かの声を思い出すと、いいようのない感情の波が、シュラインの中に沸き起こるのだった。
(ああ、ごめんなさい。うっかりしてたわ。帰りに買ってくるわね)
(それまで、この手元の1箱だけか。持つのか……俺……)
(すぐ戻ってくるわよ。もうだいたいあたりはつけてあるの)
(そうか。気をつけろよ)
(ん。じゃあ、行ってくるわね、――さん)
 完成しないパズルのように、抜け落ちたピースの一片。
 その名前を、どこかに見つけ出そうとするかのように、シュラインの指は資料の束の上を這ってゆく。
「おい、何をしている!」
 突如、鋭い声がかかった。
 はっと、ふりむいた先に立っていたのは、白衣の男だった。
「……ここは関係者以外――……ん、おまえは……」
 眼鏡の向こうで、男の目が、驚愕と歓喜に見開かれる。
「……蘇生したのか! そうだな!」
「…………」
 説明のつかない怯えのようなものを感じて、シュラインは後ずさった。だがそれより早く、男が飛びついて、シュラインの腕を掴む。
「ちょっ――、やめ……」
 手をふりほどこうとするシュラインだったが、男は哄笑で応えた。
「気づいていないのか……? 記憶が混濁しているようだな。え? ……いいか、きみは…………一度、死んだのだぞ。この病院で。死亡したんだ。意識もなく、心臓は停止し、呼吸することもなく、瞳孔は拡散していた。そうだ、完全にきみは死・ん・だ・ん・だ。……だが甦った。蘇生したのだ。このわたしの研究の成果だ。このわたしが――ハーバート・ウェストが、ついに死者を甦らせたぞ……!」
 はげしい雷鳴が、男の狂気じみた笑い声に応えるように鳴り響いた。

  2

 ――「院長室」。
 そのプレートを確かめて、セレスティはそっとドアノブを回した。
 まだ彼のあしどりはおぼつかないし、すっきりしない表情をしているが、それでも、なにかに引き寄せられるように、この美丈夫はやってきたのである。
 部屋は無人だ。
 デスクに歩みよって、ひきだしの中をあらためる。
 彼はそこに、一冊のパンフレットのようなものを見つけた。

  聖リッキー病院 ご案内

 病院の建物の写真と、そんな文字が印刷されている。
 中を開けば、それはその病院――おそらくはセレスティが今いる場所を、紹介したもののようだった。
「…………」
 そして、その写真の上で、指を止める。

  名誉顧問
  セレスティ・カーニンガム
  リンスター財閥総帥

 穏やかな笑みをたたえた、自分自身の肖像であった。
(しかし、その研究は……まだリスクが大きすぎるのではありませんか?)
(ええ、わかっています。わたしはむやみに否定はしていませんよ)
(ですが、生と死の境界を越えることは禁忌とされてきました)
(ウェスト医師は何と?)
 そうだ……
 セレスティは脳裏に甦った光景と、目の前に見えるものとを比較する。たしかにこの部屋で、自分はその会話をかわしたのではなかった。
 そして、それに続いて、フラッシュバックするのは、車を取り囲んだ男たちと、つきつけられた銃口の記憶。
 たおやかな指が、さらにパンフレットをめくった。

  内科
  ハーバート・ウェスト

 やせた、銀縁眼鏡の男の写真だった。
「ウェスト医師……」
 そして、デスクの上に、新聞があるのを、セレスティは見つける。
 またもやなにかを感じて、その紙面を広げた。

  リンスター財閥総帥、銃殺
  〜暗殺か? 各界に広がる波紋〜

  中央区 無人のビルで不審火
  興信所女性職員、焼死

  工事現場で足場崩れ
  付近通行中の女子中学生1名、死亡

  東京湾 埠頭で30代男性身元不明遺体
  鋭利な刃物で刺殺の模様 殺人事件として捜査中

 死にまつわる記事の見出しばかりが、目に飛び込んできた。
(死……死……死……ウェスト医師……リッキー病院……研究……死……死……死……)
 不吉なパズルが、組みあがっていく。
「そう……ウェスト医師……死者蘇生の研究を――していた」
 まるで他人事のように、自分の唇がつぶやくのを、セレスティは聞いた。


「大人しくしろ」
 決して大柄なほうではないが、白衣の男は意外な力で、シュラインをはがいじめにし、ひきずっていた。
「見ろ……わたしの実験は成功した」
 男――ハーバート・ウェストと自らを呼んだ男は、うわごとのように繰り返した。
「わたしは死を超えた。今まで、人類史上で誰も成し遂げることのできなかった死体蘇生を完成させたのだ。……わたしのことを狂人だと笑ったやつらに、思い知らせてくれる。そうだ……あの……リンスター財閥も、わたしの研究を否定して……、腰抜けの院長は名誉顧問には逆らえんなどと言いおった。だからわたしは……」
 そのときだった。
 ぼっ、と音を立てて、ふいに火が灯ったのである。
 火は……ウェストの白衣の裾についていた。焦げる匂いが鼻をつく。ウェストは、一瞬、何が起こったのかわからない、という顔で、自分の着ている白衣の裾が燃え出すのを見ていた。
「な、なんだとォォ!?」
 シュラインを放りだし、白衣を脱いで、床ではたきはじめる。
 放り出されたシュラインは、はっとしたような表情で、首を巡らせた。
「火事……? まさか!」
 彼女の瞳も、目の前の現実を映しているようにはとても見えなかった。それは内心の風景か、それとも過去の記憶なのか。
 火が燃えている。
 煙が視界を奪ってゆく。
 息が苦しい。熱が肌を刺す。
 シュラインは、呆然と、自分の手を見た。その肌が炎に包まれ、無残に焼け焦げてゆく幻影がよぎる。
「――っ!」
 ごう、と、周辺に散乱していた資料類が、突如として炎を発して燃え始めた。火は、凄まじい勢いで、床と壁をなめてゆく。
 シュラインの口から、悲鳴が迸った。


 ごきり、という、厭な音。
 やっちまった、と、和馬は思った。
 しかしやむを得なかったのだ。あんな得体の知れない注射などされてたまるものか。いくら、不死の、獣人の肉体を持つ和馬とはいえ……
(不死――だと?)
 ずきん、と走る疼痛。
「あらあらあら」
 どこか調子の狂った……ホンキィトンクな声で、看護師は言いながら、立ち上がった。
「もう消灯のお時間だっていうのに」
 手には注射器。その目は何も見ていないようでいて、和馬を睨みつけているようでもある。そして、その首の骨はあきらかにへし折れていた。
「笑えねェ冗談だな、オイ」
「さぁ、お注射しましょうねぇええええええええええ」
 飛び掛ってきた看護師を、和馬は見事な身体さばきで、背負い投げの餌食にした。ぐきり、とまたもや奇怪な音がして、投げ飛ばされた女の身体は廊下を滑ってゆく。
「それとも俺は、悪い夢を見てるのか」
 和馬はつぶやいた。
 ごきごきと音を立てて、異常な方向に捻じ曲がった四肢が、蜘蛛の脚じみた動きをする。看護師は……、かつて看護師だったソレは、折れ曲がった頭と手足をそなえたまま、かしゃかしゃと這い寄ってこようとしているのだ。
「なにもかも夢なのか……あの銀のナイフも」
「おおおおお注ぅぅぅぅぅぅ射ぁぁぁぁぁあああああああでぇえええええええええす」
「いや……違うな……」
 周囲の温度が、急に下がったような気配があった。
 そして、闇が濃くなったような錯覚も。
「俺は死んだはずだ……、あの看護婦だってな!」
 飛び掛ってくる、捻じ曲がった四肢の女。和馬は、女の身体を抑え付け、組み伏せると、すでに折れ曲がった首をとらえ、さらに……捻った。
 びくびく、と、四肢が痙攣し、それはようやく、動きを止めた。
 今や完全に、女の首は前後反対に向いているのだった。
 和馬は息を整えながら、ゆっくりと、背後の暗い廊下の向こうへ視線を投げる。
「……で? お次は何だって?」
 ズズ……、ズズ……。
 足をひきずりながら、少女は歩いている。
 包帯がほどけて、その無残な傷口があらわになっていた。
 和馬は、少女の傷口から、どろり、とそれがあふれ出てくるのを見た。
 血や体液ではない。水銀のような、溶けた金属のようなもの。和馬の感覚は、それがこの世の存在ではないことを察知している。ちりちりと、産毛が逆立つような感じに、和馬は顔をしかめた。
 水っぽい音を立てて、銀の粘液が飛び散った。それは蜘蛛の巣のように、糸状に広がって、天井や壁にべたりと張り付く。
「!」
 そしてそれにひきずられるようにして、少女の身体は、なかば宙を飛びながら、和馬のほうへと向かってくるのだ。
「ぬおッ」
 真正面からぶつかり、もつれあうように床を転がる。
 包帯がさらにほどけ……、和馬は少女の、まだあどけないとさえいえる顔の中央にも、真一文字に傷が刻まれているのを見た。
「まいったね。……さっきから、俺、モテ過ぎじゃね?」
「ターゲット……補足……」
 少女が言った。
 銀色の液体が、瞬時に収束し、鋭く形を変えて――
「よせ。目を覚ませッ!」
 先端を尖らせた液体の槍が、突き刺さる寸前で、静止する。
「……」
 じっと見つめかわす2対の瞳。
「…………どこかで会った?」
「さァね。俺は藍原和馬だ。知ってるか」
「知らないわ」
「嬢ちゃんは」
「篠宮久実乃……、それとも、ササキビ・クミノ? ……わからない。でも、どっちだっていいわ」
 どこか遠い目で、少女は言うのだった。

  3

 闇を裂く、非常ベルの音!
 セレスティは、廊下に煙が立ち込めているのに気づいた。
 煙が深い方へと近づいてゆく。
 廊下の角を曲がったとき、頬に熱風が吹き付けてきた。
 まるでバターのように、鉄製のドアを溶かして、部屋から出てきたのはシュラインである。その背後、部屋の中は火の海だった。
「シュラインさん!」
 叫んでから、セレスティは、はっとした表情を見せる。それがあの女性の名前なのだろうか。自分は……彼女を知っている。
 ともかく。
 セレスティの繊細な指が、目に見えぬ楽器をかなでるがごとくに宙をなぞれば、虚空から出現した水が、火の上に降り注いだ。
 もうもうと立ち込める水蒸気。
 ゆらり、と、水の中に倒れ込むシュラインを、セレスティが抱きとめる。
「しっかりしてください」
「わたし……」
 顔に血の気はなかったが、その瞳に光が戻ってくる。
「ここ――は」
「聖リッキー病院……の、ようですね。わたしも状況をすべて把握しているわけではありませんが」
「……火。火事が……!」
 ふいに、シュラインが怯えた、ひきつった声を出した。
「……? 大丈夫。火は全部消えました。安全ですよ、シュラインさん!」
「え、ええ……。でも……火が凄くて……ああ」
 自分の身体が燃えていないことを確かめるように、シュラインは衣類を気にした。
「落ち着いて。ここで何をされていたんです。それに……、あの、すみませんが、あなたはわたしをご存知ですか」
「…………」
「ハーバート・ウェストという名に心当たりは」
「……知ってる。そうよ、彼だわ。さっきまでここにいた」
 セレスティは部屋の中をのぞきこむが、真っ黒に焼け焦げた中に、しかし、遺体のようなものはない。逃げおおせたということか。
「シュラインさん。……失礼」
 セレスティは、シュラインの手をとって脈を診る。それでさえ、どこか優雅な所作であった。
「あなたも……死者なのですね」
 そして、宣告ともいえる言葉を口にするのだった。
「いいですか、シュラインさん。わたしたちは死者なのです。心臓が動いていません。それが……どういうわけか、生きている。ハーバート・ウェストはこの病院の医師で、蘇生の研究をしていました。彼の手で、わたしたちは甦ったようなのです」
(蘇生ね……、どういう状態で生き返るかにもよるわね。死を克服できたらノーベル賞は間違いないけど、一歩間違うとゾンビ映画になっちゃうわ)
(ともかく、そのウェスト医師が、病院の近くに独りで借りている部屋があって、そこを私的な研究室にしていたみたいなのね。わたしはそちらを調べてみるから……)
 まるで映画の場面が思い出されるように、脳裏にひらめく映像。
「院長……」
 ぽつり、と、呟いた。
「え?」
「院長を……探さないと」
「院長室にはいませんでした。わたしも、病院のことは院長に聞くのが一番だと思ったのですが」
「そうじゃなくて……院長……あのひとが……」
 ふたりの会話に割って入るように、どやどやと人の近づく気配があった。
 セレスティは、火災のベルを聞きつけてきた人々だと思ったが、一目見て、そうではないことがわかったのだった。
 かれらはもともとは入院患者だったのだろうか。
 夜着に裸足で、あらわれた人々は、一様に顔色は蒼白で、怪我をしているものもいた。
 そして、なにものをも映しておらぬ瞳で、じりじりと、セレスティとシュラインににじりよってこようとしていた。
 すなわち……、それは死者の群れだったのである。


「死んでるな」
「死んでるわ」
 ふたりは、ナースステーションの中に転がる無数の死体を見下ろして言った。
「全滅か。なにが起きてるんだ……」
 身長に、絶命している看護師に近づく。
「こいつらは、生き返ってはこないみたいだな」
「生きているのは、わたしたちだけ?」
 久実乃の言葉に、和馬はどう応えていいかわからず、複雑な表情を浮かべた。そういう久実乃の身体は、今にも肩から手がちぎれそうな状態なのだ。姿だけを見れば、とうてい、生きている人間の有様ではない。
「誰かが病院中の人間を殺して回った。そのうち何人かが生き返った……。ふん……」
「ところで、さっきの火災報知器は? 音はやんだみたいだけど?」
「ここだな。5階か」
 和馬は表示盤を見て言った。
「言ってみるか」
 そして歩き出したふたりだったが――。
「おい、待て!」
 ふいに、和馬が叫んだ。
「誰かいたぞ、そこに!」
 廊下の暗がりの向こうを駆けてゆく人影。
「死人なの? それとも、生きてる人間? ああ、でも……」
 久実乃の『液体』がどろどろと流れ出してくる。
「どっちでもいいわよね。本当に……どうでもいいことだわ、もう――」
 文字通り、獲物を追う投げ縄のように、それが迸った。
「ぎゃああ」
 液体に脚をとられて転んだ男が(男の声だった)悲鳴をあげた。
「ひいい、助けてくれ。殺さないで――」
「殺しやしないよ、生きてるんならな。あんたは」
「わ、わしは、この病院の院長だ。た、助けてくれ」
「何があった」
「ウ、ウェストだ。ハーバート・ウェストが……あいつは頭がどうかしてる。自分の研究のために、患者やナースを、次々……」
「研究って、人を生き返らせる研究?」
「そうだ。やつはその考えにとりつかれて……」
「あら。でも成功したみたいよ」
「え? う……うわああああああああああ」
 絶叫が夜の病院に響きわたる。久実乃の様子に気づいたのだ。
「それでこの病院はゾンビだらけなわけね」
 ぼりぼりと、和馬は頭を掻く。
「俺たちも含めて」


 水は、刃となって、死者を切り裂く。
 セレスティはシュラインを庇いながら、虚空より生み出す水の刃で応戦したが、相手は自分の身体が切られようが落ちようが一向に構わず、また、数にまかせて、無言で押し寄せてくるのだった。
「困りましたね……同じ死者だというのに、理解し合えないようですね」
「……」
「シュラインさん……?」
 シュラインが、床にうずくまった。怪我でもしたのかとセレスティが心配そうな顔を向ける。
「……燃えて……燃えてるのよ……どうしよう……わたし……」
「シュラインさん、気を確かに。それは……おそらくあなたの死の記憶です。今のあなたがいるのは――」
「でも駄目! わたし……帰らなきゃ……、煙草買って帰るって言って出てきちゃったんだもの……!」
「!」
 まるで、なにかが伝染したように、セレスティの脳裏にも、その光景が見えた。
 シュラインの唇が、その名を呼ぶのを、彼は見た。
 いつも吸い殻でいっぱいの灰皿。年代物の黒電話。雑然としたデスク。
 渋谷の裏通りの、雑居ビルだ。
 いつもそこから、奇妙な事件ははじまり、幾多の冒険が、セレスティやシュラインの行手には待ち受けていた。
 過去に経験した不思議な事件の数々が、コマ落しのように思い出されて――
 凄まじい熱気。
 炎の嵐が、死者たちを一瞬にして、灼熱地獄に巻き込んでいた。
「シュ……シュラインさん……!」
 水のバリアーを咄嗟に展開する。
 ふたりの足元の床が、ありえない高熱に、ぼこぼこと沸騰し、溶け崩れていった。

  4

「とにかく、そのウェストとやらに会わせてもらおうかね」
 逃げ出そうとする院長の首ねっこを掴んで、和馬は言った。
「会ったからってどうなるもんでもないが、まあ、せっかくの……俺たちの“恩人”なんでね」
 そう言って浮かべた笑みは、しかし、どこか自嘲めいていた。
(おゥ、そうだ、礼を言わなきゃな……。いい加減、眠れると思ったのに、生かしてくれやがって)
「ウェストは……もしかしたら、『4階』かもしれん」
 院長はエレベーターを指した。
 三人で、それに乗り込む。
「この病院には『4階』はない。3階の上は5階になっとる。……だが、本当はあるんだ。病室はないが――」
 白衣のポケットから出した鍵を操作盤に差し込むと、エレベーターは動き出した。
「秘密の階ってわけ。……なんでそんなのがあるの。4階を4階と呼ばないだけならまだしも……。おかしな病院ね」
「ここは特別なところだ」
 久実乃を気味悪そうに見ながら答える。
「政府関係や軍事関係の秘密研究もやっている……」
 音もなくエレベーターは停止し、ドアがすうっ、と開いた。
 そこは――
「な……!?」
「うお、暑っ」
「これは……」
 真っ赤に灼けて、どろどろと溶け崩れている天井。火の粉舞う中に、水の紗幕に護られた男女の姿があった。
「あ――!」
 女性のほうが――むろん、それはシュラインだったが――エレベーターから出てきた面々を見て、叫んだ。
「院長!」
 呼ばれて、ぎょっとする。
「お、おまえは……ひ、ひいっ、おまえも甦ったっていうのか……ッ! どういうことだ!?」
「彼よ! 捕まえて!」
「え、俺……?」
「そうよ、和馬さん…………クミノさんも!」
 ふたりは顔を見合わせた。
 その隙をついて、脱兎のごとく、院長は駆け出してゆく。
「ちょっと、待っ――」
「ああ、無理しないで」
 追い掛けようとしてよろめいたシュラインを、セレスティがいたわる。
「……おふたりはまだ、記憶が混乱されているようですよ」
「あ、えーと、つまり、おたくらは俺らの……?」
「そんな、ふたりとも……あなたたちも、蘇生者なの……」
 うたれたように、シュラインは言った。
「聞き覚えがある。あなたの声」
 久実乃が言った。
「うん、俺もだ。……それになんか、こう、汚い事務所みたいなのが浮かんできたぞ」
「草間興信所よ! 武彦さんに零ちゃん。覚えているはずでしょ」
「それと、こう……胸のデカイ、黒いドレスの……」
「それは高峰さん!」
「眼鏡のへたれた感じの兄ちゃんと、黒いサングラスに黒いスーツの……」
「三下くんに、八島さんじゃない」
 和馬の頭の中に、幾人もの人々の顔が浮かんだ。
 笑い合い、時に泣き、戦い、さまざまな冒険をともにした、人々の。
「ああ……、俺――、なんで……」
 呆然と、和馬は呟く。
 彼を見返す翠の瞳の記憶。それを思い出すと、ふわりと、やさしいぬくもりが和馬を包んだ。
「なんで忘れてたんだ。畜生」
「つらくないようによ」
 言ったのは、久実乃だった。
「思い出を抱えたまんま、死んでいくことがつらいから」
「……クミノさんも、思い出したのね」
「というか、今、はっきりしたわ。ここが『この世界線』だってことが。まったく」
 苛ついたような声を、彼女は出した。
「いちばん、孤独な世界よ、ここは」


「つまり、こういうことだな」
 うす暗く、人の気配がしない『4階』を、消えた院長を探す一同。
「セレスティさんはこの病院のスポンサーで……あやしい研究のことを注意したら、逆ギレで暗殺された。シュライン姉さんは、別件で、ここを調べてたらハメられて殺された」
「院長が、自分もウェスト医師のことは持て余してる、みたいなことを言って……情報提供を申し出てきたの。それが罠だったのよ」
「それで、てめぇで殺させた人間を実験台にしたってぇのか。……でも病院の他の死人は?」
「そればかりは院長の言う通りだとしか言い様がないですね。狂気の沙汰としか」
「この大きな病院の職員に入院患者……ひとり残らず殺したのなら記録的ね。たぶんギネスに載る」
「あ、待って――」
 部屋の中に、かれらは足を踏み入れる。
 机の上に、書類束と、薬品のアンプルが並んでいた。
「これです……、ドクターウェストの蘇生薬。こっちが研究論文ですね、何種類かの試薬をつくったようです」
「かたっぱしから、いろんな人に試していったんだわ。狂ってる……」
「いったい、どうしてこんなことを……」
「知れたこと」
 冷徹な声だった。
「てめェ!」
「うう……助けてくれ……」
 院長の首にメスをつきつけ、ハーバート・ウェストがそこに立っていた。
「死の克服は人類の悲願だ」
 穏やかに、狂気の医師は言うのだった。
「わ、わたしはウェストに騙されていたんだ……こんな恐ろしい『実験』をするなどとわかっていたら」
「お黙りなさい院長。世間体と自身の地位と名誉にしか興味のないあなたに、崇高な医学をきわめようとする私の気持ちはわからない。……ごらんなさい、かれらを。一度死んだのに甦ったかれらを。皆、違う試薬をためしたのだ。その少女は傷は回復していないのに、生命を取り戻している。この女性は、傷は治っているがね。その男たちは……人外のもののサンプルケースだ」
「もうこんなことはやめろ……」
「いいえ、まだまだ研究は必要です。もっと、完成させなければ。いずれ、全世界の人間がこのウェストの名を知ることになる。死体蘇生者ハーバート・ウェストの……」
「それはないでしょう」
 セレスティだった。
 ウェストの眼光がけわしく、彼を射抜いた。
「なんだとッ!」
「……それで、ウェスト医師は暴走してしまったのですか。やっとわかりました」
 まるでウェスト自身を無視するように、セレスティは続けた。
「院長先生。あなたなのですか」
「そうだ……ウェストを止めたかった。だが逆効果だったんだ……。まさかやつが、あらかじめ、自分自身にも試していたなんて……」
「なんだ、何のことを話している!」
「気づいていないのですか」
 セレスティは、医師に向かって、静かに告げた。

「あなた自身も、すでに死んでいるということに」

「な――んだ――と……」
「ああ……ウェスト、おまえは死んだんだよ。わたしが殺した。なのに……おまえは甦って………」
「ウソだっ!!」
 ウェストは吠えた。
「わ、わたしが死んだだと……そんなはずがない……わたしはハーバート・ウェスト……天才医師ハーバート・ウェストだ。人類史上最大の発明を成し遂げた……」
「本当かどうか、あなたも医師なら、確かめられるんじゃない?」
 渇いた声で、シュラインが言った。
 医師は、おそるおそる、自分の手首の脈をとる――。
「う……」
 ゆっくりと、気づかれぬように、和馬が位置を変える。
 久実乃もまた、床の上の、影の中に『液体』を這わせてゆく。
「う、うわああああああああ!!」
 ウェストが絶叫した。
「ウソだ!ウソだ!ウソだあああああああああああ!!!!」
 メスをふりまわす。ひぃっ、という悲鳴。院長が喉を裂かれ、鮮血を噴き上げて床に倒れた。
 その刹那!
「観念しねェか、この死に損ない!」
 和馬の一喝とともに――
 ウェストは、彼の瞳の中の、漆黒を見た。
 それは、すいこまれそうな闇だった。
 無限の暗黒だ。それはまるで宇宙の深淵のようでもあり…………そしてまた、自分自身の心の中の空虚だった。
 《黒》がウェストの心身を充たしてゆく。
 狂気に蝕まれた心と身体を、ある意味で慈悲深く、ある意味で容赦のない闇が侵食してゆくのだった。
 そして――
 久実乃の『液体』が、あわれな死者の肉体を、ぞわり、と包み込んだのだった。



 炎が、聖リッキー病院の建物を嘗めていった。
 燃え盛る紅蓮の炎の中では、まだ、さまよっていた死者たちが、最後のダンスを踊っていたかもしれない。
 遠く、消防車のサイレンの音が聴こえるが、それが到着しても、この炎を消し止めることはできないだろう。そして、すべてが灰に帰した頃、突然、降り出した雨によって火は消されるはずだ。

 そして、恐るべき真実は、闇へと葬り去られる。
 この地獄の病院の、それが最後だった。


 ゆっくりと、東京の摩天楼を、昇りはじめた曙光が暁色に染めてゆく。
「さーて、と。どうしますかねェ。朝日を浴びても灰になったりしねェみたいだし?」
 和馬は、死者の同輩たちをぐるりと見回す。
「別に」
 にべもなく、久実乃が言った。
「何のかわりもないわ」
「いえ……」
 しかし、セレスティがそれを否定する。
 彼は、一同の顔を、反応をうかがうように見つめながら、その事実を語りはじめた。
「ウェスト医師の研究は未完成でした。蘇生した死者で、およそ30時間以上生きた例はありません。わたしたちが目覚めたのがちょうど真夜中頃でしたから、すでに5、6時間が経過しましたね。したがって残りは……ちょうど24時間程度。今からのまる一日は、わたしたちは生きることができますが、明日の日の出頃には、再び……死のときを迎えることになります」
 しばらく――
 誰も何も発言しなかった。
 かなりの間をおいて、シュラインがそっと微笑みながら口を開く。
「よく冗談では……、明日死ぬとしたら何をする?なんて聞いたりするけれど……。そういうとき、私、なんて答えてたかしら」
「一日っつうのもな……長いような短いような」
 と和馬。
「大したことはできやしないわ。それなのに24時間もあるなんて。無駄な時間……本当に余計な時間よ」
 久実乃はあくまでも、そんな調子だった。

 もう一度、死ぬまで、あと二十四時間。

 4人の死者たちは、与えられた最期の時間を持て余すかのように、朝日の中に立ち尽くしているのだった。


(後編へつづく)


【整理番号/PC名/性別/年齢/職業・クラス/登場ゲーム】
0086/シュライン・エマ/女/26/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員 /東京怪談
1166/ササキビ・クミノ/女/13/殺し屋じゃない、殺し屋では断じてない。/東京怪談
1533/藍原・和馬/男/920/フリーター(何でも屋) /東京怪談
1883/セレスティ・カーニンガム/男/725/財閥総帥・占い師・水霊使い /東京怪談


リッキー2号です。このたびは、「幻想燈火 夏語り夜話 〜夏期限定メモリーノベル」にご参加いただき、まことにありがとうございます。

『リッキー・ホラー・ショウ 〜DEATH & REBIRTH〜』前編をお届けします。

みなさん、『東京怪談』ワールドよりのご参加でしたので、当初の予定よりもずっとベタに、いつもの怪談ワールドに地続きな感じで書かせていただきました。もちろん、あくまでもパラレルなストーリーではあるのですが。

さて、物語は後編に続きます。
甦った死者であるみなさんに残された24時間。
あなたは何を思い、何をなそうとするのでしょうか。
ホラー全開の前編に対して、後編はややメンタルな描写重視になるかと思われます。

ひきつづき、よろしくお願い申し上げます。
それでは、後編にて、お会いいたしましょう。