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幻想燈火夏語り夜話 2 深淵海水浴場花火大会
Writer:滝照直樹
Illust:見田航介
深淵の運動会が終わり、今度は花火大会という。
流堂聖十狼は深淵から浴衣を借りて、夜の現象芸術を見物に行くのであった。
陽炎のように時は過ぎる
その時は長い一時であるかのように
思い起こせば瞬きの事
夏に彩られる夜空の花
永遠と思えばそれは幻
しかし、心に刻み込まれる
この海岸で過ごした夜の事を
|Д゚) かわうそ? 作った詩? どぉ?
「いや、いきなり言われてもどうかと。回答に困るな……」
と、カランコロンと下駄の音を鳴らし、かわうそ?と夜店をまわる流堂聖十狼。
しつこいようだが、名前で判断べからず。れっきとした女性である。
|Д゚*) ←これが懐く要素でもある
|Д゚) ……
|Д゚#) 測定器か
彼女は深淵で借りた浴衣をしっかり着こなしている。紺の布地にアヤメの模様で帯が朱の色だ。もちろん愛刀を持っている。愛刀を肌身離さず持つ事はどうも彼女のポリシーらしい。
|Д゚) 昼は怖かった
「いや、それは思い出さないで欲しい」
恥ずかしいので記憶の底に埋めたいようだ。
|Д゚) 刀持つのも結構怖い
「だいじょうぶ……滅多な事では抜かないから」
|Д゚) にゅ
花火まで時間があるので、彼女はかわうそ?と共に屋台をまわる。実際彼女の家庭環境ではこうした催し物に浴衣を着てゆっくりする事はなかったのであろうか? いまは、珍しくゆっくり出来るだろう。それは、かけがえのない時間だ。
団扇を貰って、何となく江戸時代風味の屋台街を歩く。
空鯨祭りということなのだが、少しタイムスリップした感じである。
「こういう感じは好きだな」
|Д゚) にゅ
|Д゚) 都会の喧噪、うざったい?
「そうだな。あの喧噪はあまり好きではない」
いつのまにかかわうそ?が綿あめとリンゴあめをもっている。
|Д゚) 食べる?
「ありがとう」
にっこり笑う聖十狼。
かわうそ?は時と場合には大人しく、親切なところを見せるので、理解に苦しむ。この小麦色が主催で運営方法はかなり謎なのだが、コレといったトラブルもないので、客としてきている聖十狼は、満足している。
「よう、ねえちゃん射的しないか?」
「金魚すくいしない?」
程よい賑わいの中、テキ屋のオヤジが誘う。
ゆっくり流れる時間、聖十狼はあちこちの屋台で遊んだ。実際彼女の環境背景は謎であるが、こうした娯楽をした事はないだろうと雰囲気で分かる。女性らしくなってから、姉が心配して女物の服を着ていると言うが、未だ恥ずかしいらしい。
かき氷やとおもろこしを買ったり、輪投げをしてみたり、彼女はなかなか楽しそうだ。浴衣姿もかなり似合う。
「おねーちゃん」
と、小さな女の子が話しかけてきた。歳は7歳9歳ぐらいだろうか?
後ろに友達らしい子供達が来ている。
「どうしたの?」
と、目線を合わせるためしゃがんで訊いてみた。
「一緒にあそぼ〜」
と、子供達が言っている。
未だ充分時間がある。其れに考えてみればかわうそ?以外で交流はしていないし……。
「いいよ」
と、聖十狼が笑う。
「やった〜」
と、子供達は喜んだ。
少しだけ子供達と一緒に遊ぶ事になったが、これもまた楽しかった。
此処には妙な輩も居ないのだが、彼女の怖さは運動会で知れ渡っているため、若者が下心で接する事はない。今回、かわうそ?と面識のあるあの剣客(?)と巫女が居ない。居たのなら、剣の話で盛り上がっていた事だろうか?
「聖十狼さん。楽しんでいますか〜?」
と、民宿“深淵”の夏美が声を掛けた。彼女も浴衣を着ている。
「夏美さん。ああ、こういうことは初めてというか、少し緊張していたが。なかなか楽しい」
「よかったですぅ」
ニコニコ笑う夏美。
「麦茶持ってきました♪」
「ありがとうございます」
子供達は花火開始前で母親達に呼ばれたので、聖十狼と別れる。
そろそろ花火が始まりそうなので、足が疲れそうな感じであったが、頃合いの椅子がある。
「お、雰囲気のある茶屋みたいだな」
と、ゆっくり腰掛けて、夜空を見上げた。
星が綺麗である。
その空に、昼頃に出会った空鯨も泳いでいるようだ。空を飛ぶと言った方がいいのだろうが、動き方がどう見ても泳ぐに見えるのだ。空鯨が聖十狼を見つけたのかどうかは分からないが、彼も楽しそうである。気が付けば、かわうそ?がいないのだが、アレは何処かで遊んでいるか、遊ばれているだろう。花火が始まればいつの間にか居るので心配は要らないのだ。
団扇を仰ぎ、貰った麦茶をガラスのコップに注ぎ、花火が始まるのを待つ。
1番目が打ち上げられた。
「たまや〜」
各所で声がする。
|Д゚) たまやー
何処かでかわうそ?の声がする。
この小麦色は花火を見ているときに、近くでかき氷を食っていたり、一緒にぼうっと見ていたり、子供達に遊ばれていたりと忙しないのだが、雰囲気に溶け込んでいるためかそれほどじゃなにならなかった。逆に風流さを感じる聖十狼だった。
一瞬の美しさを咲かせて、星空に消える花火。
1日で様々な事があったが、それは幻と消える。
この夜も瞬きする夢?
先ほどかわうそ?が作った即興詩が思い出される。
しかし、今は深く考える事はないだろうと、聖十狼は思った。
今だけは、世俗の喧噪から離れ、何も考えなければいい。
そのために此処にいるようなものなのだ。
そう、ゆっくりするために此処にいるのだ。
こうして、深淵の夏祭りは終わる。
数日後、聖十狼はまた都会の喧噪の中で生活をしている。
たまに、かわうそ?にあう程度である。
そんなとき、
「急がなくては……」
と、何か急用で急いでいる聖十狼はふと真夏の空をみあげると
――きゅい
幻影なのか?
それとも本物なのか?
あの奇妙な海水浴場の神が泳いでいた。
「……又会えた……」
と、聖十狼は少し時間を忘れたかのようにぼうっと立っていたが。
「さて、仕事だ!」
と、また駆けだしていったのだった。
終わり

東京怪談
【3388 流堂・聖十狼 17 女 学生・剣士】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】
【NPC 夏美 ? 女 深淵の料理人】
滝照直樹です。
『幻想燈火夏語り夜話 2 深淵海水浴場花火大会』にお届け致します。
ゆっくり出来る時間を描写しようと頑張ってみましたが如何でしたでしょうか?
2話連続お疲れ様でした。今回はこれにて失礼します。
滝照直樹拝
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