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歴史

(1)軌道エレベーター「セフィロト」
 宇宙と地上とを結ぶ軌道エレベーター。
 2000年代より案だけはあったのですが、技術的経済的問題から計画着手には至らずにいました。
 しかし2020年代、諸々の技術発展や経済発展に伴い、技術的および経済的に開発可能との確信を得たアメリカ合衆国の政府、軍、一部企業の共同出資の下に、ついに本格的な建造が始まりました。
 軌道エレベーターの建造場所は、赤道直下である必要があった為、ブラジル北部アマゾン川上流域に決定。アメリカ合衆国は強大な国力を背景に半ば強引な外交手段を持って、その地域をブラジルから借り受けました。
 そしてジャングルの一部を切り開いて、軌道エレベーターの基礎となる地上設備、高層立体都市「イエツィラー」の建設を開始。同じく、遙か上空36,000kmの地点に、軌道エレベーターの起点となる宇宙ステーション「アッシャー」の建設を開始しました。
 数年の時間の後、まず高層立体都市「イエツィラー」が完成。宇宙ステーション「アッシャー」の完成を待ちながら稼働し始めます。
 技術者、研究者、軍人、そして彼らの家族と、彼らの生活を支える職業の人々が移住し、人口は数万に及びました。そして彼らは、高層立体都市「イエツィラー」の中で生活を送りながら、様々な技術研究、開発、生産を行ったのです。
 そして更に年月を経て2043年、宇宙ステーション「アッシャー」がついに完成。
 後は、軌道エレベーターの根幹であるケーブルを張るだけというその時‥‥世界に、審判の日が訪れました。
 審判の日の影響により、宇宙ステーション「アッシャー」は消滅。高層立体都市「イエツィラー」も、破壊的な異常気象の中で多大な損傷を受け、その上層部分を崩壊させました。
 そして審判の日以降、高層立体都市「イエツィラー」は完全に沈黙します。
 近隣の人々は、ジャングルから頭を突き出した、その廃墟然とした姿を見ながら生活を送り続けました。
 時々、食料などを求めてイエツィラーに行った人もいましたが、誰も帰りませんでした。
 これらの事は、審判の日の後の混乱の中で忘れられていき‥‥軌道エレベーター「セフィロト」は、そのまま何年にも渡り、忘れられ続けたのです。

(2)探索と戦いの始まり‥‥ビジターの発生
 転機は突然に訪れました。
 完全に外界から遮断されていた筈のセフィロトに侵入者があったのです。
 審判の日以前の廃棄施設をあさっていた盗掘屋に、閉鎖を免れていたただ一つの出入り口が破られ、その侵入を許してしまったのでした。
 数日後、セフィロトにほど近い集落に、盗掘屋の死体が流れ着きました。
 彼は、背に獣の爪に引き裂かれたかのような傷を負い、砕けたカヌーの残骸にしがみついて川を漂っていました。そして‥‥この時代では作る事のかなわない、審判の日以前の技術で作られた、コンピューター用のチップの欠片を握りしめていたのです。
 彼が上流にあるセフィロトへ行って、それを手に入れたのだろうという事は、すぐに想像がつきました。そして、同じくセフィロトへ行き、コンピューターチップ等の貴重な部品類を手に入れれば、一財産を築けるだろうという想像も。
 欲に駆られ、あるいはこの混乱の時代を生き居る為に、または審判の日以前の技術に興味を持って‥‥多くの人々が、セフィロトへと赴きました。
 そこで彼ら待っていたのは、住む者の一人もいないセフィロトと、そこに蔓延る異形のモンスターやシンクタンクの群れ。
 戦いが起こり、幾人もの犠牲者が出ました。しかし、生き残った者は、今の技術では作れない高性能な部品や機械装置を手に入れて、それぞれの持つ目的を果たす為の一助とできました。
 もはや、セフィロトに来る者を止める事は出来なくなりました。
 彼らは、外の世界とは一線を画した異様な世界と化しているセフィロトの内部へと足を踏み入れる自分達の事を、いつしか『ビジター(訪問者)』と呼ぶようになっていました。
 ‥‥1年が過ぎる頃には、セフィロトの第1層、都市区画「マルクト」の入り口近辺をビジター達は制圧し、そこに新たに街が作られていました。セフィロトを探索するビジター達の為の街です。